東洋水産が販売するカップうどん「赤いきつね」の最新アニメCMが、ネット上で大きな議論を巻き起こしました。このCMの描写に対して「男性目線が強すぎる」「気持ち悪い」といった批判がX(旧Twitter)で広がり、一部では大炎上。しかし、その背後には意図的に炎上を仕掛けた可能性が浮上し、最終的には“マッチポンプ”疑惑にまで発展しました。この記事では、炎上の発端から結末までを詳しく解説します。
炎上の発端:CMの内容とは?
問題となったCMは、2025年2月6日に公開されました。内容は、若い女性キャラクターが一人暮らしの部屋でドラマを観ながら「赤いきつね」を食べるというシンプルなもの。しかし、このシーンに対して「食べ方が過剰に演出されている」「性的に見える」といった声が一部で上がりました。
当初は大きな話題にはなりませんでしたが、2月16日になって炎上が加速。きっかけとなったのは、広告炎上対策をコンサルティングする企業「AD-LAMP」の代表・中村ホールデン梨華氏の投稿でした。
SNSでの拡散と“炎上マーケティング”疑惑
中村氏はX上で「女性の描写が炎上している」と発言。その投稿が拡散されると、多くの人がCMの内容に言及し始めました。しかし、ここで疑問が浮上します。実際に炎上していたのか?
東京大学の鳥海准教授がX上の投稿を分析したところ、東洋水産の公式ポストには2月15日まで批判的なコメントはほとんど存在せず、中村氏の投稿後に急増していることが判明。さらに、中村氏は炎上に関する有料セミナーへの参加を促す投稿も行っており、「意図的に炎上を作り出したのでは?」との疑惑が生まれました。
マッチポンプの可能性と専門家の見解
ネット炎上に詳しい専門家は、今回の件について「典型的な非実在型炎上であり、特定の人物が仕掛けた可能性が高い」と指摘しました。実際、炎上前のSNSの投稿を分析すると、CMに対する否定的な意見はほとんど見られませんでした。
また、CMの内容自体も過去の広告と比較して特に過激なものではなく、これまでの「赤いきつね」シリーズと大きく変わらない演出がなされていました。このことからも、自然発生的な炎上ではなく、誰かが意図的に誘導した可能性が高いと考えられます。
炎上の結末:企業の対応と影響
この炎上騒動に対して、東洋水産側は特に大きなコメントを発表することなく、静観する姿勢を取りました。その結果、ネット上では「特に問題のあるCMではない」「過剰反応では?」といった意見が増加し、炎上は次第に沈静化。
さらに、意外なことに東洋水産の株価はむしろ上昇するという結果になりました。YouTubeのCMコメント欄には「普通に良いCM」「美味しそうに見える」といった肯定的な意見が多数寄せられました。
一方、炎上を主導したとされる中村氏は、その後Xの更新を停止。AD-LAMPの信用も大きく損なわれ、同社が今後企業からのコンサル依頼を受ける可能性は低いと見られています。
企業は“炎上商法”にどう対応すべきか
今回の事例からわかるのは、企業にとって「炎上の仕組みを理解すること」の重要性です。SNSでは、誰かが意図的に火をつけることで、実際には問題のない広告でも炎上してしまうことがあります。そのため、
- 初動対応を慎重に行う
- 過剰に反応せず冷静に状況を見極める
- SNS分析を活用して実際の炎上の実態を把握する
といった対策が求められます。
また、炎上を仕掛けた人物が利益を得る構造になっている場合、それを公に指摘することで炎上を鎮火させる効果もあります。
まとめ:今回の炎上が示すネット社会の課題
赤いきつねのCM炎上騒動は、一見すると単なる広告に対する批判のように見えましたが、実際には意図的に仕掛けられた可能性が高いものでした。ネット上での議論が簡単に操作され得ることを示した今回の事例は、企業だけでなく一般ユーザーにとっても重要な教訓となるでしょう。
炎上を恐れすぎることなく、しかし、その仕組みを理解し適切に対処することが、今後の企業のマーケティング戦略において重要となりそうです。