圧倒的一位だったココイチの客離れが加速
カレーチェーン店「カレーハウスCoCo壱番屋(以下、ココイチ)」は、長年にわたって国内最大のカレーチェーンとしての地位を確立してきました。しかし、近年では客離れが顕著になり、特に2024年9月以降、その傾向が加速しています。
ココイチを運営する「壱番屋」の決算報告によると、2025年の客数は前年同月比で4.9%減少。この数字が示すのは、以前は強固だったココイチの集客力に陰りが見えてきたという事実です。本記事では、その背景にある要因について詳しく掘り下げていきます。
値上げの影響が大きな要因に
ココイチの客離れの要因のひとつとして、「度重なる値上げ」が挙げられます。直近では2024年8月に価格改定が行われ、多くのメニューが値上げされました。
例えば、ココイチの基本メニューであるポークカレーは、以前570円だったものが646円にまで引き上げられました。トッピングを追加すればさらに高額になり、カツカレーは1,192円という価格に設定されています。もはや手軽に楽しめるカレーではなくなり、多くの消費者にとって「高すぎる」という印象を与えているのです。
ライバルの台頭で選択肢が広がる
これまでココイチは「全国どこでも安定したカレーを提供するチェーン店」として圧倒的なシェアを誇っていました。しかし、ここ数年で状況は大きく変わっています。特に牛丼チェーン店やインド・ネパール系のカレー店(通称「インネパ」)が急速に拡大し、ココイチの強みが薄れてきました。
牛丼チェーン店のカレー参入
すき家や吉野家といった牛丼チェーンが本格的にカレー市場へ参入し、リーズナブルな価格でカレーを提供しています。例えば、すき家のカレーは500円台から注文可能であり、牛丼チェーンならではの独自トッピングも人気です。
これにより、消費者は「わざわざ高額なココイチに行かなくても、手軽においしいカレーを食べられる」という選択肢を持つようになりました。
インド・ネパール系カレー店(インネパ)の拡大
さらに、日本各地で増えている「インネパ」も、ココイチのライバルとして存在感を増しています。インネパでは、本格的なインドカレーを提供し、800円前後でナン食べ放題付きのセットが楽しめる店舗も多くあります。
本場のスパイスを使ったカレーとナンの組み合わせは、カレー好きの心をつかみ、ココイチとは異なる魅力を提供しています。このように、選択肢が増えたことで、消費者がココイチを選ばない理由が増えているのです。
考察:ココイチが生き残るためには?
ココイチは今後、どのようにして市場での立ち位置を確保していくべきでしょうか?
差別化戦略の必要性
現在の状況では、単に値下げをするだけでは、他の競合に埋もれてしまう可能性が高いです。そのため、ココイチならではの「特別感」を強化する必要があります。
例えば、
- 高品質な食材を使ったプレミアムメニューの展開
- 地域限定メニューの導入
- 健康志向を意識したヘルシーカレーの開発
など、新しいアプローチが求められます。
サブスクやテイクアウト強化
近年、外食産業では「サブスクリプションモデル」や「テイクアウト・デリバリーの強化」がトレンドとなっています。ココイチも定額制で一定回数のカレーを提供するサブスクサービスを導入したり、Uber Eatsなどのデリバリーを強化することで、より多くの客層を取り込める可能性があります。
まとめ:カレーチェーン業界の変化に適応できるかが鍵
ココイチは、これまで圧倒的な店舗数とブランド力で業界トップを走ってきましたが、度重なる値上げや新たなライバルの台頭によって、厳しい局面に立たされています。
消費者は、価格だけでなく「味・ボリューム・サービス」など多方面からお店を選ぶ時代になりました。今後のココイチがどのように進化するのか、業界全体の動向とともに注目していきたいところです。