近年、特殊詐欺グループの手口が巧妙化しており、オンラインゲームを通じた勧誘も増えています。2025年1月には、日本人の高校生がミャンマーの詐欺拠点から保護されました。さらに、2月14日には新たに16歳の少年が救出され、特殊詐欺の拠点で働かされていたことが判明しています。この記事では、実際の被害事例や手口を紹介し、注意すべきポイントを解説します。
日本人高校生が詐欺グループに勧誘される
バンコクの空港で、日本人の藤沼登夢容疑者(29歳)が逮捕されました。彼は日本に住む17歳の高校生を騙し、ミャンマーへ連れて行き、詐欺に加担させた疑いが持たれています。高校生は藤沼容疑者とオンラインゲームを通じて知り合い、誘われたとされています。
高校生の家族は、連絡が取れなくなったことを不審に思い、警察に通報。これにより、彼がミャンマーの詐欺拠点にいることが発覚しました。誘いの段階で、「家族には知らせず、すべてこちらで手配するから1人で来い」と指示されていた可能性も考えられます。詐欺グループは、オンラインゲームなどで親しくなった人間関係を利用し、若者を巧みに誘導しているのです。
特殊詐欺拠点へ誘い込まれる手口
特殊詐欺グループは、様々な手口で人々を詐欺拠点に連れ込みます。その一例として、中国人男性のケースがあります。
38歳の中国人男性は、上海でアルバイトをして暮らしていました。ある日、SNSで映画のエキストラ募集を見つけ、有名な監督が撮影する大きなプロジェクトだと信じました。報酬は1ヶ月で1万元(約21万円)とされていました。
しかし、指定された場所に行くと男が待ち受けており、車に乗せられました。途中で「何かおかしい」と気づいたものの、逃げることはできず、そのまま特殊詐欺の拠点へと連れて行かれたのです。これは、俳優志望の若者にとって非常に危険な手口の一つです。
高待遇の仕事に見せかけた罠
また、30歳のケニア人男性も、詐欺グループに騙された一人です。
彼は、転職エージェントを通じて「タイでシェフの仕事がある」と紹介されました。高待遇に惹かれ、タイ行きを決意。しかし、バンコクの空港に到着すると、豪華な車が迎えに来ました。最初は良い職場だと思ったものの、連れて行かれた先は特殊詐欺の拠点でした。
この拠点では、多くの外国人がSNSを使ったロマンス詐欺に加担させられていました。朝10時半から夜中2時まで、ターゲットを探してメッセージを送り続けるという作業が課されていたのです。
SNSを利用した詐欺の実態
詐欺拠点では、InstagramやX(旧Twitter)を活用し、ターゲットを見つける手口が横行しています。詐欺師たちは、裕福そうな人を狙い、ひたすらメッセージを送ります。
「私と出会いませんか?」といった怪しいDMが、著名人やインフルエンサーの元にも大量に届いているのを見たことがある人も多いでしょう。こうした詐欺は、AIやプログラムによる自動送信だと思われがちですが、実際には詐欺拠点で強制的に働かされている人々が行っているのです。
逃げ場のない環境と厳しい監視
特殊詐欺の拠点は、広大な敷地の中に大小さまざまな建物があり、厳しく管理されています。各フロアには銃を持った監視役が配置され、作業員は常に見張られています。
逆らうと、棒で殴られたり、気絶するまでスタンガンで電気ショックを与えられることもあります。日本人の高校生も、このような環境の中で詐欺行為を強要されていたと考えられます。
考察:なぜ若者が狙われるのか?
詐欺グループが若者をターゲットにする理由はいくつかあります。
- オンラインでの関係構築が容易
SNSやオンラインゲームを通じて簡単に接触し、親しくなることができる。 - 経験不足による判断ミス
「海外で稼げる」「楽な仕事」と言われると、警戒心が薄れやすい。 - 情報共有の不足
被害者の多くが、自分の状況を家族や友人に相談せず、一人で判断してしまう。
こうした背景から、若者が詐欺グループに騙されやすくなっているのです。
余談:私たちができる対策
特殊詐欺の被害に遭わないために、私たちができる対策を紹介します。
- オンライン上の知人を過信しない
「ネットで知り合った人に誘われた」という話は、慎重に考える必要があります。 - 簡単に稼げる仕事を疑う(闇バイト)
高収入をうたう海外の仕事の多くは詐欺の可能性があります。 - 家族や友人と情報を共有する
誘いを受けた際は、一人で決めずに身近な人に相談しましょう。
詐欺グループは日々手口を変えながら、次々と新たなターゲットを狙っています。被害に遭わないためにも、最新の情報を常にチェックし、警戒心を持つことが重要です。