コーエーテクモホールディングス(以下、コーエーテクモ)が新たな局面を迎えています。2025年6月、同社は代表取締役社長に鯉沼久史氏が昇格することを発表しました。これに伴い、創業者である襟川陽一社長は会長に、そして「女帝」として知られる襟川恵子会長は取締役名誉会長に就任します。
しかし、ここで驚くべき動きがありました。襟川恵子氏は「現役引退」かと思いきや、新たな子会社を設立し、グループ全体のファイナンス機能を担うというのです。ゲーム業界で異彩を放ち続けた彼女の新たな戦略に注目が集まっています。
コーエーテクモの経営体制の刷新
今回の人事異動では、コーエーテクモの経営陣の若返りが図られています。特に、ゲーム事業の責任者であった鯉沼久史氏が社長に就任することは、今後の事業展開に大きな影響を与えるでしょう。
一方で、襟川陽一氏と襟川恵子氏の「退任」は、投資家や業界関係者の間で話題となりました。しかし、それは単なる引退ではなく、新たな戦略の布石だったのです。
新会社「コーエーテクモ コーポレートファイナンス」の設立
コーエーテクモは、新たな子会社として「株式会社コーエーテクモ コーポレートファイナンス」を設立すると発表しました。この会社の代表取締役社長には、襟川恵子氏が就任します。
この新会社の目的は、コーエーテクモグループのファイナンス機能を強化し、キャッシュマネージメントを最適化することにあります。特に、これまでコーエーテクモゲームズが行っていた有価証券の運用を新会社に移管することで、ガバナンスの強化と資産運用の最適化を図る狙いがあります。
「女帝」襟川恵子氏の圧倒的な投資センス
襟川恵子氏は、長年にわたりコーエーテクモの財務戦略を支えてきました。特に注目すべきは、彼女の投資手腕です。
過去の決算資料を見ても、2016年から2022年にかけて、コーエーテクモの投資収益は一度もマイナスになっていません。さらに、一時は有価証券の運用益が全社利益の40%を占めるほどの成果を上げていました。
この「女帝」の圧倒的な投資センスを活かし、新会社を通じてさらなる利益を生み出すのではないかと期待されています。
コーエーテクモの今後の戦略
近年、コーエーテクモはゲーム事業においても好調を維持しています。特に、『三國志』『信長の野望』シリーズのリリースに加え、アクションゲームの強化や海外展開の拡大が目立ちます。
今回の経営刷新によって、ゲーム事業はより機動的に動くことができるでしょう。一方で、財務戦略については、襟川恵子氏の新会社が担当することで、より効率的な運営が期待されます。
まとめ:襟川恵子氏は「本業」に回帰?
コーエーテクモの経営体制の刷新は、単なる世代交代ではなく、新たな経営戦略の始まりです。襟川恵子氏が取締役名誉会長に退くことで「引退か?」と思われましたが、むしろ彼女は本業である投資・ファイナンスに集中する形となりました。
これにより、コーエーテクモのゲーム事業と財務戦略が分業され、より効率的な経営が可能になるでしょう。今後、コーエーテクモがどのように成長していくのか、その動向に引き続き注目が集まります。